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高森明勅
2017.6.6 22:00

安倍「加憲」、悪夢の未来図

安倍首相が憲法9条死守を主張。

ただ3項を加えて、今ある自衛隊を“明記”するとか。

前にも言ったが、これぞ究極の護憲。

改憲を潰す為の“改憲”。

もしこの提案が、衆参3分の2以上の支持を得て、
国民投票でも過半数の票を集めたら、どうなるか。
憲法9条(1・
2項)は、日本国民自身によって
改めて“選び直された”
ことになる。

「押し付け憲法」という批判は100%葬り去られる。
9条改正論も同じ。
結局、
今ある9条2項に縛られた「戦力」未満の、
アメリカの軍事力の補完物に過ぎない自衛隊が、
永遠に固定化される。

最悪だ。

一方、この提案が国会又は国民投票で否定されたら、
どうなるか。

自衛隊を「合憲化(!)」する加憲案が斥けられた以上、
自衛隊「
違憲」論がかつてない勢いを持つことになるのは当然。

自衛隊はこれまで経験したことがない逆境に置かれる。

さすがに自衛隊「解体」までは行くまい。

しかし楽観的に見ても、その“一歩手前”まで追い詰められる。

9条2項の解釈はより“厳格”化が避けられない。

これまでは「戦力」未満の“自衛の為の実力”
レベルに抑え付けられていた。
しかし、その“
実力”にも届かない
「災害救助隊に毛が生えた
程度」への転落を余儀なくされる。

最低最悪より、もう一段下のドン底。

安倍「加憲」案は、首尾よく成功すれば「最悪」。

失敗すれば「ドン底」。

どっちに転んでも悪夢以外の何ものでもない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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